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地震は、多くの命や財産に影響を与える自然災害のひとつです。1995年の阪神淡路大震災から30年が経過。甚大な被害を受けた当時、私たちは防災の重要性と社会の脆弱性を痛感しました。その教訓をもとに、建物の耐震化や避難計画の整備など、地震研究や防災対策は大きく進展を遂げています。当時の経験を糧に、命と暮らし、そして未来を守るためのpt电子游戏_pt老虎机平台-下载*官网の最新の研究をご紹介します。

防災を自分事に
コミュニケーションで広げる防災意識

阪本 真由美教授

減災復興政策研究科所属(研究者情報はこちら

「減災コミュニケーション」と呼ばれる分野に焦点を当て、災害時における人々の行動や心理、社会の対応を明らかにする研究を行っています。特に重視しているのは、防災を一般の人々に「自分事」として意識してもらうこと。防災は特別な状況にのみ必要なものではなく、日常生活の中に無理なく自然に取り入れることが重要だと考えています。例えば、地域活動や日常的な営みの中に防災の視点を取り入れることで、過度な負担をかけずに防災意識を高める仕組みづくりに取り組んでいます。

研究の原点には、私自身が経験した阪神淡路大震災があります。多くの方々が被災し、初めて「自分にも関係がある」と気づく姿を目の当たりにしました。この経験が、防災を日常に溶け込ませる仕組みを作りたいという私の思いの出発点です。

私の研究では、避難行動や災害情報伝達の分析を通じて、人々に避難の大切さに気づいてもらえるよう支援しています。具体的には、地域住民や自治体と連携して、防災教育プログラムや防災マップを活用したワークショップを実施。これらの取り組みは、住民が自然と防災意識を高めるきっかけになります。また、市町村をはじめとする自治体にも積極的に働きかけ、避難シミュレーションの結果を活用した地域防災計画の改善や、学校での防災訓練の実施といった実際の行動につなげています。このように、官民を巻き込みながら、災害に強い地域社会の形成を目指しています。

さらに、最近では「フェーズ?フリー」の考え方にも注目。災害時には避難用として使える日用品を、平常時には便利な生活グッズとして活用することで、日常生活と災害対応を無理なく結びつけることができます。この考え方は、ワークショップや書籍を通じて社会に発信し、防災意識を日常生活の中に自然と普及させることを目指しています。

これからの目標は、災害が発生した際の被害を最小限に抑えるだけでなく、防災を日常に溶け込ませる社会を構築すること。阪神淡路大震災での経験を胸に、人々の命を守り、災害に強い未来を築くため、これからも研究を続けていきます。

拡大する研究

地下構造の解析し、地震予測を進化させる

後藤 忠徳 教授

理学研究科所属(研究者情報はこちら

私の研究は、地面を掘らずに地下の構造や変化を正確に把握することです。特に、活断層の位置や活動度を調べるために、物理学の原理を利用した地下探査法(物理探査技術)を開発中。例えば、電磁波による地下構造の解析や、時間変化を含めた「四次元探査」に挑戦しています。この技術を用いることで、震源地付近の地下構造の可視化に成功しました。将来は地震動予測やインフラ設計?管理の基礎情報に役立ちますが、現状では災害の原因を事後に検討?考察する段階に留まっています。今後も調査精度を高めていき、地震の発生要因を明確にできれば、次の災害に対して効果的な備えができると考えています。30年前の阪神淡路大震災を振り返ってみると、地下水の成分などに予兆と考えられる現象があったものの、研究者たちは災害を事前に予測できませんでした。その反省を糧に、地震発生の前後も含む諸現象の理解と、正確な災害予測に繋がるような、より高精度な「活断層診断技術」の確立に向け、挑戦を続けていきます。


古き良き木造を守り、強化する

荘所 直哉 准教授

環境人間学部所属(研究者情報はこちら

専門は木造建物の耐震性に関する研究。研究対象は現代的なものから歴史的なものまで幅広く、耐震性能を担保するために耐力壁や床、接合部などを中心に評価を行っています。実験やシミュレーションを通じて、地震による横揺れに対する耐力壁の抵抗力や変形挙動を検証しつつ、木材相互の接合部における力学的評価も実施しています。また、兵庫県の森林林業技術センターと協力し、新たな建築材料であるCLT(直交集成板)の開発にも携わっています。木造建物の耐震性に関しては、阪神淡路大震災を契機に耐震設計に関する研究が進み、耐震設計法や技術が飛躍的に向上しました。しかし、古い木造建物に関しては、精度の高い耐震性の評価法が整備されておらず、現在も研究は進行中です。今後は、精度の高い耐震設計法の構築や耐震性向上のための研究をさらに進め、地震に強い木造建物の実現を目指します。

注目の人 -Person-

地震に強い未来を、国境を越えてつなぐ

私は、地震時の人々の行動を研究し、安全な行動や備えを提案することを目指しています。家屋や家具の転倒?落下などの被害の特徴を踏まえ、国内の阪神?淡路大震災や海外ではトルコの地震の事例を分析し、避難行動の類似点や相違点を比較。また、家具の固定や安全な避難対策など、簡単に実施できる防災対策の重要性を提案しています。国際協力の経験を活かし、防災教育や啓発活動、また、日本の知見を開発途上国に伝えることで、国を越えた災害に強い社会づくりに貢献していきたいと考えています。

地震に強い未来を、国境を越えてつなぐ

立花 静香さん

減災復興政策研究科 博士前期課程2年

自然災害から守る、歴史的建築物の価値

兵庫県内の木造洋館の耐震性能について、評価基準を研究中。日本の耐震診断は木造住宅を前提にしているため、洋館特有の工法への適用に課題があります。工事報告書の図面や文章を読み解き、建築当時の構造を推測。耐震診断の適用可能な範囲を調査しています。この研究は、自然災害による歴史的建物の損壊を防ぎ、未来に残すことを目的としています。今後は県外や国外にも研究の幅を広げ、より多くの建物を守る基盤を築いていきたいです。

自然災害から守る、歴史的建築物の価値

後藤 穂乃香さん

環境人間学部 4年

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