Disaster Reduction

#地震災害 #歴史地震 #防災心理学 #防災教育学 #災害看護

いつ、どこで起こるか予測が困難な自然災害。災害から人を守り、強い社会を築くためには、経験に裏打ちされた正しい知識と事前の準備が必要です。pt电子游戏_pt老虎机平台-下载*官网に集う各分野の専門家たちがそれぞれの視点から取り組む“未来を守る”研究をご紹介します。

災害に関する古文書を解読することで
歴史地震学研究をサポート。
人々の防災意識の底上げにも貢献したい

平井 敬准教授

減災復興政策研究科所属(研究者情報はこちら

地震学の研究分野は多岐に渡ります。私の場合、日本地震学会に加えて日本建築学会にも所属し、建物の耐震設計などにつながる工学系領域の研究にも携わるほか、歴史地震学の分野でも研究を続けています。地震は繰り返し発生しますが、その周期は非常に長く、150年程度の観測では知り得ないこともたくさんあります。そのため、近代的な地震学が始まる以前の地震に関して調査?研究するのが歴史地震学です。その調査方法の一つが古文書の解読。1854年の「安政東海地震」「安政南海地震」など歴史的な巨大地震は、古文書に当時の被害状況や復旧の過程が細かく記録されています。

しかし、多くは草書(くずし字)で記されているため、解読するにはスキルの習得が必要です。私は大学の博士課程在学中に歴史学のゼミにも参加して解読スキルを身につけたことで、歴史地震学に携わるようになりました。現在、史料解読の人材育成を兼ねた「減災古文書研究会」を主催しています。研究会には災害研究の専門外の方も多く参加しており、知識?スキルの獲得だけでなく、一人ひとりの防災意識の底上げにも貢献しています。また、解読した史料を活字に直し、解説を加えた資料集の発行も行っています。こうした資料がより多くの人の目に留まることで、歴史地震学の研究サポートにつながると考えています。

歴史地震研究の成果は、例えばハザードマップの作成などに生かされています。地震危険度の評価には、活断層の有無とその活動の歴史が非常に重要です。また、現代の地震発生情報はおおむね市区町村単位で集計?発表されますが、歴史資料には集落ごとに民家の倒壊状況などが記録されていることがあり、現代の地震観測より詳しい震度分布を推定することができる場合もあります。

このように、歴史的データと近代的な知見をかけ合わせることで、これまで知り得なかった情報が見えてきます。歴史地震学が、このような物理的な防災研究(ハード面)と、そこに住まう人々の防災意識(ソフト面)のどちらにも影響を与え、防災活動の輪が広がっていくことを願い、研究に取り組んでいます。

拡大する研究

復旧?復興に至る生活再建過程を明らかにする。ハードとソフト、二つの視点で防災を未来へ繋ぐ

木村 玲欧教授

環境人間学部所属(研究者情報はこちら

私は、「災害後の復旧?復興」を解明し、「災害前の防災対策に生かす」研究をしています。災害は自然現象であると同時に、人や社会に大きな影響を与える社会現象の側面も持ちます。災害後の人間の心理?行動について研究し、復興に至る生活再建課程を明らかにすることで課題を知り、次の災害への事前の対策に繋げます。今年1月に発生した能登半島地震では、震災後SNS上でのデマが大きな問題に。私自身もマスコミと共同でデマに対する声明を発表するなどの対策を取りました。ハード面とソフト面の防災の両輪が正しく機能する対策を考え、未来の防災に活かすことが私の使命です。


「生きていく力」を高めることで災害から受ける影響を軽減。
一人でも多くの被災者が健康体で災害を乗り越えるためのサポートを

増野 園惠教授

地域ケア開発研究所所属(研究者情報はこちら

人命や健康生活が脅かされる災害。私たち看護に携わる者は災害の発生を止めることはできませんが、災害によって人が受ける影響を低減することはできます。その方法を追求することが災害看護の研究における一番のポイントです。活動内容は多岐に渡ります。被災者のケアをする中で活動を記録し社会に向けて発信することやケアのエビデンスを探求することで今後の災害による影響を低減することに資する研究をはじめ、避難所の環境整備やボランティアのケアなどにも携わります。実際に、能登半島地震発生後には、現地の人々の生活を守りながら被災者の持つ「生きていく力」をどう高めるかを軸に活動を行いました。また、同時に災害直後の支援だけでなく、長期的に地域で協力して災害に対応できる体制を整える、防災?復興モデルの確立にも挑戦中です。

注目の人 -Person-

誰も知らない歴史の謎を紐解く。新たな切り口で防災意識を向上

篠山城大書院(丹波篠山市)の失火原因について研究中。色々な図書館を何度もめぐって様々な資料を読み、焼失した原因を究明しています。まだまだ道のりは長いですが、自分以外誰も取り組んでいない研究だからこそ面白いと感じます。過去の災害の実態を明らかにし、教訓や経験を未来へ残すことが目標。また、歴史の切り口から防災を研究し成果を発表することで、多くの人たちに防災に関心を持ってもらい、意識の向上に繋げたいと考えています。

誰も知らない歴史の謎を紐解く。新たな切り口で防災意識を向上

北村 昌卓さん

減災復興政策研究科 博士前期課程1年

震災の経験から学ぶ。高齢者でも安心して暮らせる街づくりを目指して

災害発生時に高齢者が抱える問題について研究中です。きっかけは、市役所への就職が決まったことと、地元の町の高齢化。分析ツールを使い、過去の新聞記事の中から「高齢者」に関連するキーワードを抽出し、周囲の単語との繋がりを分析します。新聞に掲載されている被災者の生の声を読み解くことで、当時の課題や問題を知り、次の災害への備えを考えられるのです。災害の記憶を薄れさせず、高齢者にとっても安心で安全な街をつくりたいです。

震災の経験から学ぶ。高齢者でも安心して暮らせる街づくりを目指して

佐々木 翔琉さん

環境人間学部 4年

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