Currency & Finance

#金融?ファイナンス #銀行 #預金通貨 #社会保障 #公的年金 #政策シミュレーション #株価 #エネルギー供給

通貨と金融は社会の発展と持続可能な未来を実現する鍵となります。資金の流れを円滑にすることで、経済活動が活性化し、企業や個人の成長が促進されます。さらに、持続可能な未来を目指すためには、環境や社会的課題に対応する金融の役割が重要です。金融の力を活用し、より良い社会を目指す研究をご紹介します。

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より良い金融システムの構築は
銀行の本来の姿を理解することから

吉田 康志教授

国際商経学部所属(研究者情報はこちら

専門分野は、金融?ファイナンス。主に、銀行のビジネスモデルと、銀行が生み出す預金(通貨)に焦点を当てた研究を行っています。きっかけは、大学卒業後、銀行業界に入り仕事をしていくなかで、ひとくちに金融機関と言っても銀行が担う社会での役割と、証券会社や保険会社などの銀行以外の金融機関が担う役割が本質的に違うことに気づいたこと。海外の大学院に進学し専門的に金融について学んだ後に、研究者としての職に就きました。

銀行について、人々や企業などから現金を預金として預かり、集まった資金を企業などに貸し出す経済主体だと認識している方が多いと思います。つまりは、まず現金で資金を調達し、その後に貸し出しを行うという順序です。銀行が普段行っていることを外側から見れば、そのように受け取られてしまうのは仕方ないことですが、実際にはそうとは言い切れない側面が強いのです。

銀行は、自らの負債としての預金を帳簿上で作り出し、それを企業などに貸し出しているため、貸出に先立って現金を調達する必要はないのです。このようにして作られた預金が「預金通貨」。預金通貨は、我々の社会に流通するお金の重要な部分を構成しています。言い換えれば、銀行は貸出を通じて、常にお金を新しく作り出していると言えます。私の研究では、銀行をお金の作り手として捉え、それが可能となる仕組みや機構、条件などを明らかにするとともに、そのようにして作られたお金(預金通貨)の誕生から消滅までを実際の経済のなかで跡付けることを目標としています。

金融をめぐる制度改革などを実施する際に最も重要なことは、銀行に対する正しい理解。万が一、銀行の本質的な機能や機構を認識しないままに制度改革などを実施してしまうと、銀行だけでなく、中央銀行や決済システム、監督当局などのその他の各種組織が形成するエコシステムの機能を阻害してしまうおそれがあります。そのような事態を引き起こさないためにも、この研究が、現代の銀行を中心とする金融システムの本来の姿を理解するための一助になればと考えています。

拡大する研究

政策を見直し、改良のきっかけをつくる。
経済学の視点で社会保障政策を評価

木村 真教授

情報科学研究科所属(研究者情報はこちら

日本の財政制度?社会保障制度の持続性と社会的なインパクトを経済学の視点から分析することが、主に取り組む研究テーマ。特に、厚生労働省が5年に一度公表する公的年金のシミュレーションに対する評価を長年行っています。学内のスーパーコンピューターも活用しながら、年金の収入と支出が将来的にどう変化するかを予測し、厚生労働省の発表しているデータと比較。評価の結果、改善すべき点や課題点が見えてきた場合は、政策を見直すきっかけになります。自分が発表した研究成果が政策に携わる人たちの目に触れ、政策判断?決定に少しでも良い影響を及ぼすことを信じて、日々研究に取り組んでいます。


株価を読み解き、探る
安定的なエネルギー供給の鍵

落合 夏海講師

政策科学研究所所属(研究者情報はこちら

専門は金融工学の分野。これまでの研究では、日経平均株価指数先物におけるボラティリティ(価格の変動)のパターンを分析し、値動きの要因を解明することを目指してきました。そのなかでも、現在取り組んでいるのは、エネルギーや電力市場に焦点を絞った研究。特に、卸の電力価格の変動について、モデルを組み予測しながら、市場価格が急上昇?急下落する要因を探っています。この要因が解明できれば、将来的に安定した価格で電力を供給できるようになることが期待できるため、私たちの未来を守る研究の一つとして使命感を持って取り組んでいます。

注目の人 -Person-

利用者と店員の両方が喜ぶ、新しい決済方法について考えたい

金融論のゼミに所属し、現在は金融に関する基礎知識を学んでいます。3年の後期から始まる専門研究では、金融システムを用いた決済方法について研究したいと考えています。きっかけは、接客業のアルバイトでの経験から。短時間かつ誰でも簡単に使える決済方法があれば、単純な利便性だけでなく、利用者の満足度向上や店員の負担軽減など双方向へ多くのメリットをもたらすことができ、より良い社会の実現につながるのではと期待しています。

利用者と店員の両方が喜ぶ、新しい決済方法について考えたい

曽根 明日翔さん

国際商経学部 3年

独自の経済モデルを用いて、教育と所得の関係を分析

私の母国である中国をはじめ、現代社会でも格差問題は残っています。例えば、所得格差の解決には、教育が重要な手段として考えられていますが、それは裏を返すと、教育に問題があると格差は広がるということ。そこで、子育てや教育の問題を同時に考えるできる経済モデルを独自に作り、コンピュータ?シミュレーションを用いて、教育投資が所得の不平等に与える影響を分析しています。将来的には、格差を減らしながら社会の発展を促進できる、バランスの取れた教育政策を模索したいです。

独自の経済モデルを用いて、教育と所得の関係を分析

王 若鹏さん

情報科学研究科 博士後期課程 4年

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