Architecture & Landscape in Europe

#建築史 #近代建築 #フランス #都市計画 #景観計画 #地域マネジメント #ヨーロッパ庭園 #ランドスケープデザイン

豊かな歴史と多様な文化が反映されたヨーロッパ街並み。なかでも、歴史的建造物と新しい建造物が共存し、自然と調和した優れた景観を有するフランスのパリは、ヨーロッパの最も美しい都市のひとつに数えられます。pt电子游戏_pt老虎机平台-下载*官网が取り組む、フランスを中心とした建築?都市計画?景観計画などの各分野の研究をご紹介します。

建築と都市における歴史主義と近代主義の融合を考える

三田村 哲哉教授

環境人間学部所属(研究者情報はこちら

歴史と文化に基づくフランスの街。パリの魅力のひとつは、新?旧の建築が共存しているところにあると捉えられています。セーヌ川の両岸に連なる街並みは、中世、近世、近代に絶え間なく続いた建設と破壊の繰り返しによって生まれたフランスの遺産です。戦間期のフランスを中心に、こうした建築と都市について考えています。

2024年のパリオリンピックでは、史上初となるスタジアムの外で開会式が行われました。
パリ中心部を東西に流れるセーヌ川のうち、アウステルリッツ橋からトロカデロ庭園までの約6kmのコースを選手たちがボートに乗って通過します。スタート地点付近のパリ大聖堂は中世の建築で、パリが都市として大きく繁栄をはじめた原点。次のルーヴル宮は近世から近代に開発が進められました。そして終着点は、1889年に建設されたエッフェル塔とその対岸のトロカデロ庭園で、これまでパリ万博などの主会場として繰り返し使用されてきた地域です。
このように開会式のルートは、中世、近世、近代の建築と都市を辿るかのように見えます。

三田村哲哉『アール?デコ博建築造形論 : 一九二五年パリ装飾美術博覧会の会場と展示館』(2010,中央公論美術出版)

しかし、こうした舞台は一夜にしてできるものではありません。建築と都市は蓄積によって生まれます。歴史主義と近代主義は相反するもののようですが、建築と都市にはこれらの両者が不可欠で、それらの融合が求められています。

建築も都市も、歴史を遡れば、どちらかに傾倒し、破壊と建設が繰り返されてきました。歴史のある街であれば、歴史主義が尊重された時代もあれば、近代主義に偏った時代も経験しており、こうしたそれぞれの時代の考え方が、自ずと建築や都市に現れます。戦間期のフランスは、世界が広がり、政治や社会、文化などのさまざまな面で、非常に大きな変化を経ました。それとともに、同国はこうした変化に応えた新たな建築や都市の創造ばかりでなく、これまでの建築や都市の継承にも動き出します。この時代の仏領を視野に入れて、建築や都市の歴史や意匠、計画、技術などのさまざまな視点から、当時の建築家?都市計画家たちが果たした役割を明らかにする研究に取り組んでいます。

拡大する研究

景観づくりの鍵は、利用する人の「幸福感」

赤澤 宏樹教授

自然?環境科学研究所所属(研究者情報はこちら

ランドスケープの専門家として、景観計画の策定や地域のマネジメントを行っています。人々の生活に根差した美しい景観をつくるために、現存する地域の資料や写真から、昔と今の街並みを比較し、変わったもの?変わらないものを分析。その街の景観にとって、何が大切な要素であるのかを見極めます。一方で、海外の事例や考え方を新しく取り入れることもあります。例えば、従来の日本では、緑で覆われた土地の面積割合「緑被率」を指標としていましたが、フランスで意識されていたのは、視界に占める緑の割合「緑視率」や緑の「見え方」。これらの考え方を活用することで、日本でも図面上の平面的な計画ではなく、その街で暮らす人々の視点に立った立体的な計画を練ることができるようになりました。今後も、人々が幸せを感じ、生活が豊かになる景観を実現するため、国内?国外の景観について研究を重ねていきます。


庭園は宗教や社会制度を可視化する装置としての環境芸術

竹田 直樹准教授

緑環境景観マネジメント研究科所属(研究者情報はこちら

ヨーロッパの庭園様式は、歴史的にイタリア式、フランス式、イギリス式と順次変遷してきました。18世紀に誕生したイギリス式の自然風景式庭園は近代庭園の先駆けであり、17世紀のフランス式は前近代庭園の最後の様式です。フランス式は、ヴェルサイユ宮殿の庭園に代表される左右対称の平面幾何学式庭園で、そこには古代ギリシャやローマの神話に基づく多数の彫像が設置されました。そして、その全体が当時の人々に絶対王政期の王権を視覚的に示すという政治的な装置として機能したのです。庭園のビジュアリティには単なる審美性だけではなく、その時代の政治、社会、宗教、文化の状況が反映されています。しかし、現代のランドスケープデザインの中には、そういった歴史的背景が正しく理解されないまま表層的なデザイン的観点から安易に過去の海外の庭園様式が導入されてしまうことがよくあります。重要なのは庭園史を正しく理解したうえで、現代社会に整合したランドスケープデザインを思考することです。

注目の人 -Person-

世界遺産を通じて学んだ、二国間の文化的差異

2年生のプロジェクトゼミで「日本とフランスの世界遺産」についての研究を行うため、フランスに単身で調査へ。現地の世界遺産を巡る中で、地域ごとの文化や暮らしの違いを体現した数多くの建物や、街全体で取り組む昔からの景観保護に感銘を受けました。特に、当時の王政や国内の社会情勢がはっきりと表れた建築が現代でも残っている点は、日本との大きな違いを感じました。現地調査を通して、自分の目で見て感じることの重要性を実感し、帰国後は、世界遺産や有名建築についてもさらに学びを深めています。

世界遺産を通じて学んだ、二国間の文化的差異

豊田 亜由香さん

国際商経学部 3年

都市計画の変遷から、都市問題解決のヒントをつかむ

フランスの建築家であるレオン?ジョスリーが立案した、スペインの都市計画の変遷について研究しています。スペインは個性豊かな建築物で有名な国ですが、都市計画においても深い歴史を持っています。都市の図面を見比べ、道路や区画等の変化を調査し、当時の社会情勢や設計者の意図を踏まえながら、その変化の理由を分析。都市計画の歴史を学び、都市が抱える問題へのアプローチ方法を明らかにすることで、現代の都市問題を解決するためのヒントを見つけ、将来は、自らの手で住みやすい街をつくっていきたいです。

都市計画の変遷から、都市問題解決のヒントをつかむ

有川 菜々美さん

環境人間学部 4年

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