2023.09.13
お知らせ プレスリリース 環境人間学部?環境人間学研究科

細胞外小胞がケルセチンの吸収性や機能性を高める可能性を発見

石坂朱里助教、村上明教授(pt电子游戏_pt老虎机平台-下载*官网環境人間学部)、山﨑正夫教授(宮崎大学農学部)らの研究グループは、タマネギなどの野菜や果物類に広く含まれるケルセチンの体内への吸収機構や機能性発現機構についての新しい知見を論文発表しました。

ケルセチンは、抗動脈硬化作用や抗肥満作用など多彩な生理機能性を示すポリフェノールの一種で機能性食品の有効成分として期待されています。その反面、体内への吸収効率が極めて低く、また化学的に分解しやすい特性を持つにも関わらず脳内にまで移行するなど、吸収機構について未解明な側面がありました。

一方、血液や尿などの体液中には、直径30-2000 nmの細胞外小胞(extracellular vesicles, EV)と呼ばれる極小の小胞が存在し、細胞間コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしています。EVには核酸やタンパク質などの機能性分子が内包されていることはすでに知られていますが、ケルセチンなどポリフェノールの存在は報告されていませんでした。

以上を背景として本研究では、培養細胞や実験動物に投与したケルセチンがEVに内包され、体内を循環する可能性について検証しました。まず、大腸がん細胞にケルセチンを添加し、一定時間培養後、培地中に残存するケルセチンを除去し、培養を続けました。その後、細胞から分泌されたEV内の成分を飛行時間型質量分析装置で精密分析したところ、ケルセチンや代謝産物の存在が確認できました。また、ケルセチンを経口投与したラット血清中EVにケルセチンと代謝産物が含まれていることも証明しました。

さらに、大腸がん細胞の培地中から調製したEVにケルセチンを内包させると、化学的な安定性は有意に増加しました。このEV内包ケルセチンは、通常の遊離状態に比べて免疫細胞への取り込み効率が極めて高く、抗炎症活性も強いことも判明しました。

以上から、経口摂取したケルセチンが消化管内でEV に内包され、効率よく吸収された後は安定した状態で体内を循環し、末梢組織で機能性を発現する可能性が示唆されました。

これらの研究成果は、2023年9月6日にMolecular Nutrition&Food Research誌(Impact Factor6.5)でオンライン掲載されました。

内容

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